庭はことの他美しく、秘やかに花々が息づいています。
忘れな草の群生と名残の白いチューリップ、水仙らが夕暮れの静かな緑の空気と溶けあいます。
柔らかな色彩の小川の脇に、チクリと刺されると痛くて痒いイラクサが隠れています。
スティンギングネトル、若い葉は春の滋養のスープに、乾燥すれば刺は消え、鉄分とミネラルをたっぷりと含んだ栄養の茶剤となります。
優しげな美しい庭に、こうした薬草たちが潜んでいることがたまらなく好きです。
スウィートウッドラフやスウィートシスリの花が香り、ニオイイリスも咲いています。
季節の雨を飲み干して、ホリホックブラックが、メドウスウィートが、花々をつけるでしょう。
ハーブガーデンの喜びは、とても細やかです。
萩尾エリ子 / simples