軽やかに歌い

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ふと目にした作家の言葉が響く。
「どうせ、あちらへは手ぶらで行く」。

あまりにも、あっさりと不意をつかれる。
木々は薄雪をまとい、蒼穹に輝く。
ストーブの上の薬缶は、しゅんしゅんと湯気をたて、
老猫は夢を見る。

ならばハーバルノート、日常の美しきものに心打たれ、
軽やかに野を歩こう。

萩尾エリ子 / simples