大地に種を

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たわわに実をつけたグレープフルーツの枝を戴いた。
庭に播いた種から、いつの間にか実ったという。

その物語は私たちを幸せにした。
写真を北の友に送る。クリニックで野菜料理を教え、命の支え方を伝える人へ。
「種はいつの日か実を結ぶ」と書いた。

丸い果実は光のようにまわりを照らし、やがて清冽な冷菓となった。
日々、小さな種を播こう。
「希望」はゆっくりと育つに違いない。

萩尾エリ子 / simples