再びの

ガラス窓は「冬」を篩（ふるい）にかけて、微かな「春」の気配を集める。
水仙、ヒヤシンス、白いジンチョウゲ、あずきほどの青いレモン、トウオガタマ、ニオイバンマツリ、アマリリス、オリーブ、月桂樹、マートル…。

幾度と冬を越えた勇士と新参の緑たちは、小鳥歌う季節を夢見る。
室内は小さな楽園。
美しい春の等しく訪れることを願って、しばらくは秘そやかな花の香りを楽しもう。

萩尾エリ子 / simples