どこまでも丸く


凍った夜を過ごして、朝日が昇りました。
これからの冬を、落ち葉と雪に守られて、庭は眠ります。
寝床につく前のラベンダー、タイム、セージ、セボリ、ルー…。
森の松葉を合わせて、たわめれば、ひと夏の記憶が立ち昇ります。

植物に助けられ、ひとときの木陰を作るのが私たちの仕事。
つつましき緑の輪を扉にかかげ、次の春を待ちます。

萩尾エリ子 / simples