微かな春

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霧の朝が続いています。
明け方の雪は雨に変わり、やがて白い霧が生まれます。

雪の溶ける音もします。
凍てついた地面は、ほっと息をし、落葉の下のカキドオシたちに空気がゆきわたります。

シンプルズのレッスンランチでは、この幼葉をスープに浮かべました。
清流のクレソンと窓辺で育ったローズマリーの花、フルーツセージの小さな葉が、お皿の上の心づくしの緑です。

月に大きな輪がかかり、私たちを包む空気にも“春”の粒子が混ざります。
ささやかな愛するウッドランドからも、ふっくらとふんわりとかすみながら、“春”が立ちのぼります。

萩尾エリ子 / simples