夏のはじまり


手をのばせば大きな朴の葉がとれる。
まだ若木の気前のよいこと。

この地で「包む」喜びを知った。
つややかな緑の葉に、ほどよい酢飯とあり合わせの具をのせて。
私の心も木漏れ日と共にふわりと包んで
今日のごちそう。

萩尾エリ子 / simples