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涼風を求めた窓は、閉じられることが多くなり、夕暮れには、ランプ型のストーブに灯をともす回数が増えました。日は短くなり、キャンドルの灯は、一杯の熱いお茶やワインのように、小さなその場を暖めます。

庭先の染色がまは、連日、香りがたちのぼり、“秋”は惜しみなく布や糸に色を与えます。

夏の間に乱雑になった身のまわりを片づけて、心をきりりと‘秋’へと出てゆこう。10月の豊穣の中へ。

蓼科は燃えたつ紅葉の準備をはじめました。

萩尾エリ子 / simples