青き春の花々に

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春霞みの色が、ここにもやってきました。
霜の降りる朝夕を過ごして、ラングワートはしっかりと青い花々をつけました。
別名エルサレム・カウスリップ、古典的な薬草です。
小川のそばには、キバナノクリンザクラ、スイセン、ヒナギクが咲きはじめました。

こうした春に起きた、日常の突然の多くの死に、確かな明日のないことに、悲しみと恐れは深く、胸は痛み続けます。
ならば戦争という非日常の続く中で、人はどう耐えてゆくのでしょう。
思いは広がり、心は沈みます。

無常の世で、繰りかえす生命を見せる花々の青の清さが身に浸みました。

萩尾エリ子 / simples