すずやかに


この月は、すべての窓を開ける。
小さな店は緑に溶けて、息をする。
風は朝を、夕暮れを、ひっそりと運ぶ。
冷たい草のお茶が、身体に浸みてゆく。

夕立の後は虹。蓼科のひと夏。
手も足も背中も、みんな緩む。伸びる。

萩尾エリ子 / simples