魔法、ひとつ

窓辺の光を集めて冬を過ごした、香りの植物たち。
大切に摘んで、両手に一杯ほど。
ガラスに名残りの雪をのせて、簡素で美しい蒸留が始まる。

滴から生まれるのは、透きとおった夏の面影。
心の中に緑が揺れる。

萩尾エリ子 / simples