
この地に来た頃、テレビドラマ『北の国から』を観ていた。
凍てつく日、そりに積んだ重い薪を運ぶ、都会育ちの幼い息子は
きっと自分を重ねていただろう。
その作家の描く人々はいつも等身大で、
誰もがきちんと温かかった。
それからたくさんの季節が巡り、私も年を重ねた。
門出の花をと頼まれたブーケは
長雨にもめげずに咲いたバラを、ひっそりと生きる植物たちで支えた。
いつでも、身近にある植物を花束にする。
覚悟を持った作家を想い、ひととき、私の中の温もりを探した。
萩尾エリ子 / simples
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